明らかにその人が原因で問題が起きているのに、なぜかその人が怒り出す。
「いや、それあなたが怒る立場じゃないでしょ」
そう思うのに、本人は本気で怒っている。
正直、「なんでそうなる?」って思いますよね。
「逆ギレ」は一括りにできない
こういう行動は、まとめて「逆ギレ」と言われがちです。
でも、それだけでは説明できません。
というのは、人は詰められたとき、いくつかのパターンに分かれるからです。
「逆ギレ」と一言で言っても、中身は別物。
だから、ちゃんと見分けないと、対応も読み取りも間違えます。
なぜ逆ギレが起きるのか
逆ギレする人を見て、こう感じるかもしれません。
「いや、それで怒ったら立場悪化するだけでしょ」
「冷静に考えれば、得することはないはず」
確かに、頭で考えれば、逆ギレは損な行動です。
本人だって、心のどこかでは分かっている可能性もあります。
でも、それでも逆ギレが起きる。
理由は、二つの機能の問題です。
一つ目は、思考の機能そのものが欠けているケース。
論理的に考える機能、因果関係を捉える機能、自分を客観視する機能。
こういう機能が育っていないから、そもそも「これは損だ」と判断できない。
二つ目は、感情や欲望を制御する機能が育っていないケース。
理性的には分かっているかもしれない。
でも、その理性を超えて、感情や衝動が動いてしまう。
頭で抑えられない。
たいていの場合、両方の機能が弱い状態です。
だから、逆ギレが起きる。
詰められたときの反応は、5つのパターンに分かれる
では、具体的に、どんなパターンがあるのか。
詰められたときの反応は、大きく分けて5つに分類できます。
① 非を認められる人
まず、普通の反応がこれです。
現実を受け止めて、修正できる人。
思考の機能も、自分を制御する機能も、年齢相応に育っている。
だから、自分の非を認めて、必要なら謝って、改善する。
こういう人とは、問題が大きくなりません。
話せば伝わるし、変化も期待できる。
でも、この記事を読んでいる方が困っているのは、たぶんこの人じゃないですよね。
ここから先が、本題です。
② 下に見ている相手には強気で押し切る人
このタイプは、相手を下に見ています。
「この人には強く出てもいい」
「押し切れる」
「言い返してこない」
そう判断している。
その状態で、自分の非を指摘される。
普通なら、「まずい」となる場面です。
でもこの人は違います。
相手が下だから関係ない、と思っています。
だから認めません。
強く出て、押し返します。
声を荒げたり、威圧したり、論点をずらしたり、相手を黙らせようとしたり。
こうやって、問題そのものをうやむやにします。
本気で「自分は悪くない」と思っているわけではありません。
ただ、下に見ている相手より下になるのが、ありえないだけです。
とるに足らない、どうでもいいプライド。
まあまあ、カッコ悪いです。
機能的に見ると、自分を客観視する機能が欠けている人ですね。
自分のカッコ悪さに気づけない。
そして、プライドを我慢する機能も育っていない。
③ 本気で自分が悪いと思っていない人
このタイプは、認識そのものがズレています。
そもそも「自分が悪い」という前提がない。
本人の中では、こうなっています。
「自分は正しい」
「責められているのは理不尽」
だから、本気で怒る。
こちらから見ると、逆ギレに見えますが、本人の中では正当に怒っているだけです。
このタイプは、特に厄介です。
というのは、話が通じないからです。
機能的に見ると、因果関係を捉える機能、自分を客観視する機能、多面的に見る機能が欠けています。
自分の行動の影響が見えないし、自分が外からどう見えるかも分からない。
だから「自分は正しい」と本気で信じられる。
変えようとしても、ほぼ変わりません。
④ 認めたら詰む状態にある人
このタイプは、ちょっと毛色が違います。
意図的に否定しているように見えるからです。
自分の非を認めた瞬間に、致命的なダメージが発生する状態です。
逮捕される。
法的に責任を追及される。
仕事を失う。
立場が崩れる。
人間関係が壊れる。
だから認めません。
分かっていても、否定し続けます。
延命です。
一見、これは「機能の問題じゃない、状況の問題」に見えます。
計算ずくで否定している、と。
でも、ここで一段深く考えてみると、別の構図が見えてきます。
そもそも、「認めたら詰む状況」を作った時点で、機能が欠けていたんですよね。
普通の機能が育っている人なら、行動の前にこう考えます。
「これがバレたら自分はどうなる?」
「リスクは?」
「やる価値はあるか?」
ここで「無理」と判断して、やらない。
でも、このタイプは、その判断ができなかった。
論理的に考える機能、因果関係を捉える機能、リスクを見積もる機能。
これらが弱いから、「詰む状況」を作ってしまった。
そして、欲望を制御する機能も育っていなかったから、目先の利益や欲求に流された。
だから今、詰みかけている。
そして詰みかけているから、否定するしかない。
結局、根っこは①〜③と同じ。
機能が弱いから、この状況に陥っているんです。
⑤ とにかくキレる人
このタイプは、ロジックでは説明できません。
理由や因果関係に関係なくキレる。
要するに、輩です。
機能的に見ると、思考の機能も制御の機能も、ほぼ全部欠けている。
論理が成立しないし、衝動を抑える力もない。
感情のまま、衝動のまま、動く。
最初から話が通じる相手じゃありません。
話ができると思ってはいけません。
実際は、複数のパターンが組み合わさる
ここまで5つに分けましたが、現実の場面では、複数のパターンが組み合わさることが多いです。
たとえば、不倫がバレて詰められている人を想像してみてください。
そもそも不倫した時点で、相手(配偶者)を下に見ている可能性が高い(②の要素)。
さらに、「バレなければOK」と思っている時点で、罪悪感が浅い(③の要素)。
バレた後、認めたら家庭崩壊するから、必死で否定する(④の要素)。
そして詰められて、感情が爆発して逆ギレする(⑤の要素)。
一人の中で、複数の要素が同時に動いている。
でも、根っこは同じです。
全部、思考の機能と、欲望を制御する機能の、弱さの問題なんですよね。
なぜモヤモヤするのか
こういう「困った人」に遭遇したとき、こちらが感じるモヤモヤの正体は、見分けがつかないことです。
ナメているのか。
本気で悪いと思っていないのか。
意図的に否定しているのか。
とにかく感情で動いているのか。
外から見ると、どれも「逆ギレ」に見える。
だから、どう対応していいか分からない。
だからストレスになります。
でも、構造として理解すると、見分けがつくようになります。
そして、見分けがつくと、対応の方向も決まってきます。
理解と対応は、別の話
ここで大事なことがあります。
「構造が理解できた」ことと、「だから関わるべき」は、別の話です。
②は、変わる可能性は一応あります。
ただし、これまでのナメた行動が無かったことにはなりません。
信頼を取り戻すのは難しい。
③は、ほぼ変わりません。
本人の中で「自分は正しい」が完成しているからです。
④も変わりません。
状況が変わらない限り、否定し続けるしかないからです。
⑤は、関わるべきじゃありません。
最初から話が通じる相手じゃないからです。
つまり、どうすれば分かってもらえるかではなく、関わるべきかどうかです。
ここが、いちばん大事なポイントです。
結論
明らかに非があるのにキレてくる場合、根っこにはこういう構造があります。
ナメている。
本気で自分が悪いと思っていない。
認めたら詰む状況で延命している。
とにかく感情で動いている。
そして、それらの根っこには、思考の機能の欠落と、欲望を制御する機能の弱さがある。
これらの「困った人」全般に、共通する構造です。
サイト全体で扱っている「困った人」のパターン、実はほぼ全てが、この機能の問題で説明できます。
>>未熟な大人とは何か|話が通じない、論理が届かない「困った人」の構造
こういう人と、どう関わるか
こういう人とまともに話をしようとしても、意味はありません。
分からせようとしても、伝わらない。
時間もエネルギーも使って、何も変わらない。
正直、コスパが悪すぎます。
距離を置くのが最適解です。
無理に分かり合う必要はありません。
でも、避けて通れない相手の場合、関わり方を考える必要があります。
職場、家族、ご近所。
そういう相手とは、別のアプローチが必要です。
基本は「戦わない、変えようとしない、自分の課題に集中する」というシンプルな考え方ですが、これを身につけると、こういう人を相手にしたときの消耗が、だいぶ減ります。



